「空き家1,000万戸時代」と言われる現代では、今後さらなる空き家の増加が懸念されています。
増加の要因としては、以下のようなものが考えられます。
さらに空き家の増加率は、地方都市ほど強くなっていくと予想されます。
今回は、これらの詳細な理由と、空き家解消に向けた国内の動き、さらに地方都市における「空き家管理ビジネス」の需要について、詳しく解説していきます。
総務省が発表した2014年時点の人口推計によれば、全国47都道府県のうち40道府県の人口が1年前と比べて減少したことがわかりました。
また、地方からの人口流入で増加傾向にある東京でも、都の統計資料「東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測」によれば、2025年をピークに人口減少に転じるそうです。
このような傾向に伴って、空き家の増加にはさらに拍車がかかっていくことでしょう。
新築物件の増加率と比べて、空き家の解消率が減らない理由には「中古物件流通の伸び悩み」が挙げられます。
この件については、
「安心R住宅制度とは?ポイントと不動産業者としての取り組み方」という記事でもお伝えしたように、中古物件の売買が活発な海外の不動産市場と比べて、国内市場では中古物件が好まれないという傾向があります。
これらの背景を鑑みた結果、「安心R住宅制度」が始まったという経緯があるわけですが、詳しい内容については後述します。
住まなくなった空き家を更地にするには、必ず建物の解体料がかかります。
さらに、更地にすると固定資産税の特例対象から外れるので、建物がある空き家の状態よりも支払う税金は高くなります。
空き家を更地にするには解体料がかかるうえに税金も高くなる。
このような税制上の問題も、空き家が解消されにくい要因の一つとなっています。
先ほどの「人口減少で空き家が増える」の段落でもお伝えしましたが、東京も人口減少に転じると予測されています。
しかし空き家の増加率は、都市部よりも地方の方がさらに高くなるものと思われます。
もともと人口が少ない地域(地方)に建つ学校や病院などの公共施設は、人口減少にともなって徐々に閉鎖され、企業や店舗などの商業施設は、より人口が多い地域(都市部)に移転していくからです。
このような転移によって、進学・求職・不便解消などで都市部へと人口が移っていく傾向は加速し、地方の空き家率はますます厳しいものとなっていくでしょう。
以上のような空き家率の上昇を解消するため、国内では現在さまざまな動きが見られます。
平成29年には、国関与のもとで不動産事業者団体などが「安心R住宅制度」を創設しました。
今まで中古物件に抱きがちだった「不安」「汚い」「わからない」といったマイナスイメージを払拭し、安心して魅力的な中古物件を選択できる環境を整備する、という目的があります。
この制度の普及によって、中古物件流通の活性化を目指しています。
また、土地にまつわる税制度も少しづつ変化してきました。
平成27年に施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」では、周辺地域の保安を乱す恐れがある「特定空き家」は固定資産税の減税特例から除外。
これに伴って、空き地解体のための補助金制度を敷く自治体も登場し、空き家解消に向けた動きが各地で活発になってきています。
空き家というものは、「解体して更地にする」「売却する」「貸す」のいずれかの道をたどるものですが、空き家になってすぐに処分方法や活用方法が見つかるわけではありません。
そこで今後需要が増していくと考えられるのが「空き家管理ビジネス」です。上記項目でもお伝えしているように、地方都市ほど、このビジネスの需要は多くなるでしょう。
今日では多くの不動産業者がこのビジネスに参入しています。
参入への障壁が少なく、取引物件の増加にもつながるため、不動産業者にとってはメリットの多いビジネスです。
次回のコラムでは、「空き家管理ビジネスへの参入メリット」についてお伝えいたします。
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