宅建業コラム

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安心R住宅制度とは?ポイントと不動産業者としての取り組み方

更新日:2018年07月25日

今年4月から「安心R住宅」制度がスタートしました。この制度は、基本的な品質が確保されていて住宅の性能等の情報提供がされる既存住宅に対し、国が定めた「安心R住宅」という標章を広告時に使用できる仕組みです。具体的な取り組みと不動産業者の役割について解説します。
全日は不動産流通団体として3/13に最初に登録されました

既存住宅流通促進を目指し創設

本格的な人口減少・少子高齢化を迎えた日本において、既存住宅の流通活性化は、住宅ストックの有効活用やそれによる経済効果、ライフステージに応じた住み替えの円滑化などの視点から重要な政策課題とされています。
一方、国内の住宅流通量に占める既存住宅シェアは14.7%(2013年時点)と、8割を超える欧米と比べて非常に低い状況です。

既存住宅の流通が増加しない背景には、耐震性や設備の老朽化などの品質に対する不安や、内外装が汚く設備が古いという見た目の悪さ、情報が少なく選ぶ判断ができないなどの理由があります。
そのため「不安・汚い・わからない」というイメージを取り払い、消費者に“住みたい・買いたい”と思ってもらえるような既存住宅を提供していくことを目指し、耐震性があり、建物の状況を確認する建物状況調査(インスペクション)や既存住宅売買瑕疵保険契約を締結するために必要な検査を実施し、基準に適合した既存住宅に対して、国の関与のもとで不動産事業者団体などが「安心R住宅」の標章(ロゴマーク)を付与する今回の制度が創設されました。
安心R住宅

安心R住宅標章を使用するには

「安心R住宅」制度の正式名称は、「特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度」で、「R」は「リユース(Reuse)」「リフォーム(Reform)」「リノベーション(Renovation)」を表しています。

「安心R住宅」の標章を使うための前提条件として、売主と専属専任媒介契約、または専任媒介契約を締結し、「安心R住宅」として広告することを売主から承諾を得る必要があります。
さらに以下の3つの要件があります。

  1. 基礎的な品質があり「安心できる」=1981年6月1日以降の新耐震基準を満たしていること、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合していること
  2. リフォーム工事がされていて「きれい」=リフォーム工事によって従来の既存住宅の「汚い」イメージが払しょくされていること、未実施の場合は、費用情報を含むリフォーム提案書があること、外・内装や水廻りの現況写真が閲覧できること
  3. 情報が開示されていて「わかりやすい」=広告時に点検記録等の保管状況等を調査報告書により示されるとともに、買主の求めに応じて詳細情報が開示されること

これらの要件と合わせて、「安心R住宅」の標章(ロゴマーク)の使用ルールについて国土交通省が設定しています。その上で、この標章の使用を希望する事業者団体を審査・登録し、標章の使用が認められます。

登録団体は、同制度の適正な運営ができる規模がある一般社団法人や協同組合などが対象になります。登録団体はガイドラインに沿って基準・ルールを設定し、所属する会員事業者に対する研修や標章使用の許諾、指導・監督業務などを行います。

登録団体に所属し、許諾を受けた事業者はそれらのルールに則って、要件を満たした既存住宅について「安心R住宅」の標章を広告に使用することができます(図表)。
また住宅購入者が希望する場合には、リフォーム提案書に基づく工事ができるリフォーム事業者のあっせんや関連する支援を行います。
また、リフォーム提案によるリフォーム工事を行うかどうかは住宅購入者の判断に任されています。

図表 既存住宅の広告に「安心R住宅」の標章を使用するための手続き

標章使用が可能

6月1日時点で登録されている事業者団体は3団体で、全日本不動産協会は3月13日付で不動産流通団体として最初に登録されました。
当協会の場合、会員の事業者が標章を使用するためには、1社につき1人以上が協会主催の「安心R住宅研修」を受講し、効果測定に合格した「研修修了者」が在籍していることが必要で、その上で標章使用申請を行うことになります。

現在、ラビーネットまたは全日HP会員専用ページの会員向けコンテンツ「全日安心R住宅研修」より、WEB研修・効果測定を受けられ、登録申請ができます。
全日安心R住宅研修のWEB研修は、会員ログイン後、
https://www.zennichi.or.jp/login/)全日会員専用ページから受講できます。

関連業界との連携に期待

登録団体による研修の実施や、売主がOKを出してから必要な調査や手配が行われるなど、手続き期間が必要なため、「安心R住宅」物件広告が本格化するのはこれから。

国土交通省住宅局住宅政策課の住宅活用・国際調整官の中澤篤志さんは「『安心R住宅』は不動産流通のプロである宅建業者がキープレーヤー。これまでの経験とお客様との信頼関係をベースとして、インスペクション業者やリフォーム事業者と連携しながら、ぜひ積極的に活用してほしい」と期待を寄せるとともに、「買主にとって“楽(=Raku)”な制度であるとともに、売主にとっても空室対策になる仕組み。既存住宅の流通を促進して住み替えやすい住宅市場につなげていきたい」と話しています。

また制度については、物件の動向や登録団体・消費者からの意見などを聞きながら、より充実させていく方針とのことです。

国土交通省では「安心R住宅」の積極的な活用を促すためにまんがでわかりやすく解説。

国土交通省では「安心R住宅」の積極的な活用を促すためにまんがでわかりやすく解説。
「まんがでわかる! 安心R住宅」国土交通省WEBサイト
http://www.mlit.go.jp/common/001215761.pdf


このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2018年6月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。