今月は、債務不履行、連帯債務・保証における法改正点のポイントを押さえていきます。本試験において「債務不履行」は2年に1回くらい、「連帯債務・保証」も同じく2年に1回くらいの頻度で出題されています。
(1)法定利率
法定利率が、年5%から「年3%」に変更されました。ただし、この数値は、今後3年ごとに見直されることになっています。
(2)履行遅滞の時期
不確定期限付債務について履行遅滞責任が生じるのは、債務者が期限到来したことを知った時であるとされていましたが、これにプラスして、期限到来後に債務者が履行の請求を受けた時も履行遅滞責任が生じる旨が新たに規定されました。
連帯債務者の1人について生じた事由は、他の債務者に影響しないのが原則ですが(相対効)、一定の事由は例外的に他の債務者に影響します(絶対効)。絶対効を有する事由は下記の4つです。
●A・B・Cが、債権者甲に対し、300万円の連帯債務を負う事例(各連帯債務者の負担部分は均一)

なお、以前は請求、免除、時効(消滅時効)も絶対効を有する事由とされていましたが、法改正により相対効になりました。すなわち、甲がAに対して履行の請求をしても、その効果はB・Cには及ばない、甲がAに債務の免除をしても、B・Cの債務額に変動はない、Aの債務の消滅時効が完成しても、B・Cの債務額に変動はないことになりました。

従来、連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者にもその効力が及ぶとされていましたが、法改正により及ばないこととなりました。
下記問題は○×問題です。
※法改正に対応するため問題文の一部を改変しています。
A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている。Bのために時効が完成した場合、A及びCのDに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。(H29年 問8)
AがBに1,000万円を貸し付け、Cが連帯保証人となった。AがCに対して請求の訴えを提起することにより、Bに対する関係でも消滅時効の完成猶予の効力が生ずる。(H10年 問4)
連帯債務者の1人について消滅時効が完成したとしても、その効果は他の債務者には及ばない。
連帯保証人Cに対する請求の効果は、主たる債務者には及ばない。したがって、主たる債務者Bに対する関係では、債権の消滅時効の完成猶予の効力は生じない。
植杉 伸介
早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。
このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2020年9月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。
内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定を受けた業界最古の全国組織である公益社団法人 全日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部は、埼玉県下全域で5つの支部がある宅建業者約1,870店舗の会員で構成する団体です。
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