宅建士試験合格のコツ・接道義務と前面道路による規制 法令上の制限3 ~道路に関する規制(建築基準法2)~ | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・接道義務と前面道路による規制 法令上の制限3 ~道路に関する規制(建築基準法2)~


建築基準法には、道路に関連する規制がさまざまな場面で出てきます。今回は、道路に関連する建築基準法上の各種の規制のうち、出題頻度の高い接道義務と、容積率の前面道路による規制について学んでいきましょう。

接道義務

接道義務

1.建築物の敷地の接道義務

都市計画区域・準都市計画区域内にある建築物の敷地は、原則として、道路(自動車専用道路を除く)に2m以上接していなければなりません。建築物の敷地が道路に2m以上接していないと、その建築物が火事になった際に消防車が入って消火活動をすることができなかったり、救急車の経路が確保できなかったりするからです。

2.地方公共団体の条例による制限の付加

地方公共団体は、避難・通行の安全確保の目的から、特殊建築物や一定の規模の建築物などにつき、条例で制限を「付加」することができます(「緩和」はできません)。

3.私道の変更禁止等

私道の変更・廃止により、その道路に接する敷地が接道義務に抵触することとなる場合、特定行政庁はその私道の変更・廃止を禁止または制限することができます。

4.道路の定義

建築基準法上の道路とは、次のものをいいます。

道路の定義

道路は、原則として4m以上の幅員が必要です(⑥は例外)。ただし、特定行政庁が指定する区域では、幅員6m以上を基準とすることができます。
道路の定義を覚える場合は、「特定行政庁の指定」というキーワードに注意してください。④⑤⑥でこのキーワードが出てきます。④は予定段階の道、⑤は法律によらないで造られた道、⑥は幅員4m未満、というふうに、どれも道路として問題ありです。火災の際に、消防車が入ってきてきちんと消火活動ができるかどうか不安です。そこで、そうした安全面などを確認したうえで特定行政庁が指定した場合にのみ、「道路」と認めることにしたのです。

容積率の前面道路による規制

容積率は、建築物の前面道路の幅員(2以上あるときは、道路の幅員が最大のもの)が12m未満のときは、前面道路の幅員(メートル数)に、下記の定数を乗じて得た数値と、都市計画で定められた数値とを比較し、厳しい(小さい)ほうによらなければなりません。

道路の幅員に乗じる定数(法定乗数)

たとえば、都市計画による指定容積率が30/10で、前面道路が6mの第一種住居地域の場合、前面道路幅6×4/10=24/10と、指定容積率30/10を比較すると、24/10の数字のほうが厳しいので、こちらを採用することになります。

論点の確認と知識定着のための過去問2問

下記問題は○×問題です。

【Q1】

都市計画区域の変更等によって建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員2mの道で、特定行政庁の指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。(H30年 問19)

【Q2】

建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満の場合に限る。)を用いて算定する。(H29年 問19)

過去問の解答と解説

【A1】○

現に建物が立ち並んでいる幅員4m未満の道が建築基準法上の「道路」として認められるためには、特定行政庁の指定が必要である。

【A2】×

前面道路が2つ以上ある場合は、道路の幅員が最大のもの、つまり広いほうの道路の幅員で計算する。

 

植杉 伸介

早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2020年2月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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