宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・宅建業法3-営業保証金と弁済業務保証金(保証協会を利用する場合の仕組み)

更新日:2019年09月18日

毎年、本試験では営業保証金と保証協会の制度内容から各1問ずつ出題されています。保証協会の弁済業務保証金は営業保証金の代替手段になるため、両者には共通点がありますが、異なる点も多くあります。本試験対策としては、両者を比較しつつ学習し、相違点を正確に押さえることが重要です。

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営業保証金と保証協会の弁済業務保証金制度の比較

図表1 営業保証金と保証協会

営業保証金は、基本的に自分のことを自分でやるシステムであり、宅建業者が自分で供託所に供託します。また、顧客が還付を受ける場合も、直接、顧客が供託所に請求します。還付によって営業保証金に不足額が生じた場合、その不足額を供託するのも宅建業者自身となります。

これに対し、弁済業務保証金制度においては、すべての手続に必ず保証協会が顔を出してきます。宅建業者は、弁済業務保証金分担金というものを保証協会に納付し、この納付を受けた保証協会が、弁済業務保証金として供託所に供託します。また、顧客が還付を受ける場合も、まず保証協会の認証を受けなければなりません。保証協会の認証を受けずに、直接、供託所に請求することはできません。還付によって弁済業務保証金に不足額が生じた場合、その不足額を供託するのは保証協会であり、宅建業者ではありません。宅建業者は、保証協会からの請求に応じて不足額分の金銭を、還付充当金として保証協会に納付します。

以上のとおり、弁済業務保証金制度では、すべて保証協会を通じて手続が行われるという特徴を押さえておくことが、営業保証金制度の違いを理解するポイントです(図表1・2)。

図表2 弁済業務保証金制度の概要と還付充当金の流れ

論点の確認と知識定着のための過去問2問

下記問題は○×問題です。

【Q1】 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。(H29年 問32)

【Q2】 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。(H20年 問44)

【Q3】 保証協会から還付充当金の納付の通知を受けた社員は、その通知を受けた日から2週間以内に、その通知された額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。(H28 問31)

過去問の解答と解説

【A1】○
営業保証金の額は事務所の数で決まるので、宅建業者が一部の事務所を廃止したときは、事務所1つにつき500万円の営業保証金を取り戻すことができる。しかし、すぐに取り戻してしまうと、還付請求権者が十分な還付を受けられなくなるおそれがあるので、記述のとおり、6月以上の期間を定めて公告をする必要がある。

【A2】×
弁済業務保証金の還付があった場合、供託所への補充供託は保証協会が行う。したがって、保証協会は社員又は社員であった者に対して還付充当金を、供託所ではなく、保証協会に納付すべきことを通知しなければならない。

【A3】×
宅建業者(社員)は、保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けたときは、その通知を受けた日から2週間以内に、通知された額の還付充当金を供託所ではなく、保証協会に納付しなければならない。

植杉 伸介

早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2019年7月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。