近年、リースバックを活用した不動産取引が増加し、空き家の発生防止はもちろんライフスタイルの多様化に応じたさまざまな効果も期待されています。しかしその一方で、契約後のトラブルも増加しているのが現状です。
国土交通省は、2022年6月、健全なリースバックの普及促進のため「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表しました。
「住宅のリースバックに関するガイドブック」 を公表しました(国土交通省プレスリリース)
ここでは国土交通省が公表したガイドブックを元に、住宅のリースバックについてわかりやすく解説します。

リースバックとは、所有している住宅を売却し、売却後はリースバック事業者と賃貸借契約を締結して、これまでの住まいに引き続き居住できるという不動産売却サービスです。
リースバックの利用例について、2件ご紹介します。
新居を購入するための、資金調達の手段の一つとなるのがリースバックです。
居住者(リースバック利用者)の住宅を売却すればまとまった資金が調達でき、住宅ローンの残債返済や借入の精算も可能です。さらに新居に引越しするまでの間も、これまでの住宅に「賃貸」として居住できるため、仮住まいを見つける必要がありません。
不動産所有者には高齢者が多く、相続について悩んでいる人も多くいます。相続はトラブルを引き起こしやすいものですが、不動産を持っていればなおさらです。不動産の相続によるトラブルを避けるため、リースバックを利用して不動産を現金化しようとするケースも増えてきています。
さまざまな活用が期待されているリースバックでは、次のようなトラブルが発生する可能性もあります。
リースバックにより住宅を約2,000万円で売却し、賃貸料 約20万円/月で貸借契約。9年ほどで賃貸料が売却価格を上回ることに気づいた住宅のリースパック利用者が、事業者にキャンセルを申し出たものの、契約後のキャンセルはできないと拒否したことでトラブルに。
住宅の売却後に賃借で住み続けられるといっても、住み続ける年数によっては賃借料が売却価格を超える場合があります。契約者間で同一の認識であるか、確認しておきましょう。
事業者から提示された金額である700万円でリースバック売却の契約をしたけれど、のちに市場価格が売却価格よりもはるかに高額だと判明するケースもあります。市場価格をしっかりと調査し、適正価格で契約を行いましょう。
賃貸借契約満了の時期が近づいてきたため、リースバック利用者が再契約を申し出たが、事業者が拒否。契約内容が「定期借家契約」であったため、リースバック利用者は引越しを余儀なくされた。
リースバックでは、住宅を売却した後も賃貸借契約を行えば、ずっと住み続けられるものと思っている人も多いようです。しかしリースバックで締結する賃貸借契約には、再契約を保証していないものもあります。貸主・借主双方の認識を合わせておくことが重要です。
ここでは、リースバック利用者(居住者)にとってのメリットについてご紹介します。
住宅を売却した後もそのまま住み続けられる点は、リースバックの大きな特徴です。引越しを考えている場合でも、賃貸契約を行っていればすぐ出ていかなくてよく、仮住まいを探す手間も必要ありません。
リースバックを利用した住宅売却の場合、一括で買い取り金額が支払われます。現金化までの期間が早いため、なるべく早く資金を調達したい方や不動産売却に手間をかけたくない方にとっては、よりメリットを実感できるでしょう。
リースバックを利用すると、住宅の所有権がリースバック事業者に移行します。それにより固定資産税等の課税負担が軽減され、火災保険や修繕費用等の負担も不要です。不動産を所有することで起こり得るリスクの軽減にメリットを感じる方も多いようです。
リースバックで住宅を売却しても、契約内容や条件によっては、将来的に再度住宅を買い戻すことが可能です。その場合は、リースバック事業者と利用者(居住者)の間であらためて売買契約を締結することになります。
リースバックを利用するには、いくつか注意しておくべき点があります。事業者は、リースバック利用者にしっかり説明しておけば、トラブル回避にもつながるでしょう。

リースバックを利用すると、これまでの「所有者」は「借主」に変わります。そして賃貸借契約を締結し、毎月の家賃支払いが生じるのです。
場合によっては賃貸料が売却価格を上回る可能性があり、それはトラブルの元にもなりかねません。売却価格と賃貸料として支払う金額をしっかり確認しましょう。
リースバックの利用者(居住者)は住宅の所有者ではなくなるため、基本的に、リースバック事業者の許可なく設備を変えたり新たに設置することはできなくなります。これまで通り住めるといっても、まったく同じ使い方ができるとは限りません。
リースバックは住宅の売却価格は相場価格よりも低くなる傾向にあります。その理由は、リースバック事業者が家賃滞納リスクや売買に関する制約を抱えているためです。仮に、高額で売却できたとしても、家賃が高くなる場合があります。
リースバックで締結する賃貸借契約は、再契約が保証されていないものもあります。とくに定期借家契約は普通借家契約と異なり、貸主が再契約に応じなくてもいいとされているのです。リースバック利用者(居住者)が望んでいても、貸主が拒否すれば住み続けることは不可能になります。
住宅を売却した後も住み続けられるリースバックは、利用者にとても良いものにうつるかもしれません。しかし住宅売却後は家賃支払いが発生し、ずっと住み続けられるという保証はないのです。トラブル回避のためにも、リースバック事業者は、契約前にしっかりと説明しておきましょう。
多様なライフスタイルの実現や空き家の発生防止等、リースバックには多くの利点が期待できます。仕組みや契約内容・条件等を把握して、利用者のライフプランに合わせてうまく活用したいものです。
内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定を受けた業界最古の全国組織である公益社団法人 全日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部は、埼玉県下全域で5つの支部がある宅建業者約1,870店舗の会員で構成する団体です。