「低未利用土地の特別控除」適用の範囲と手続きは? | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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「低未利用土地の特別控除」適用の範囲と手続きは?


少子高齢化や人口減少などの影響により、空き地や空き家が増え続けています。その対応策として「低未利用土地の特別控除」が、令和2年7月1日より施行となりました。

「低未利用土地の特別控除」とは、個人が一定の条件のもとに土地を譲渡した場合、その利益から100万円が控除されるものです。今回は、制度を適用するための低未利用土地の条件と手続きに必要な申請書類についてご紹介します。
低未利用土地

適用対象となる「低未利用土地」の範囲とは

「低未利用土地の特別控除」を適用する条件は、令和2年度に創設される「低未利用土地の特別控除」とは?で詳しくご説明しています。

今回はその中から、どのような土地が「低未利用土地」となるのかをご紹介します。

「低未利用土地」って具体的にどんな土地?

「低未利用土地に該当」する土地とは、具体的には、空き地や空き家、空き店舗などです。また、住居や業務用として使っている土地でも、常時利用しておらず利用頻度が低い場合(別荘など予備的に利用)は、「低未利用土地」に該当します。

購入した人が建物を建てる予定なら、コインパーキングも「低未利用土地」に

利用の頻度が低い…ということでは、「コインパーキング」も同様です。「コインパーキング」の土地は空き地というわけではありませんが、24時間、常に利用されているとは言い切れません。
そのため、土地を購入した人が新たに建物を建てるなど、現在より利用頻度が高くなると思われる場合に限り、コインパーキングも「低未利用土地」と考えて良いことになっています。アパートを建てたり、住居として利用したりするのが、このケースに該当します。
コインパーキング

「500万円の壁」に注意しよう

適用対象とする譲渡の要件の1つに「譲渡金額が500万円を超えないこと」とあります。そこで、この制度を利用するため、500万円以上する土地の価格をなんとか下げられないか、と考える人もいると思いますが、注意が必要です。

評価額500万円を超える土地を大幅値引きして500万円で譲渡したら「贈与」と見なされてしまうかも

土地の値段を500万円未満に値下げして売却することを考える人もいるでしょう。しかし、実際の評価額よりも大幅に安い価格で譲渡した場合は、差額の分は購入者に対する「贈与」とみなされる可能性があります。土地を購入した人が、税務署に後日「贈与税」を納める必要が出てくる可能性もありますので、あくまでも、適正価格での譲渡を心がけましょう。

500万円以上の土地を分筆するケースはどうなる?

1筆の土地を500万円以下になるよう複数に分筆して売る場合は、「低未利用土地の特別控除」が適用できます。ただ、分筆した土地のうちの1ヵ所に「低未利用土地の特別控除」を適用した場合、残された土地については現在のところ、適用外となります。

「低未利用土地の特別控除」を受けるための手続き

手続きに必要な申請書類
「低未利用土地の特別控除」を受けるには、市区町村から交付される「低未利用土地等確認書」および、譲渡対価が500万円以下であると示すものを添付して確定申告を行います。

「低未利用土地等確認書」の交付にあたって必要な書類は以下の3つです。

(1)登記事項証明書
(2)低未利用土地等であることを確認するための書類
(3)譲渡後の利用用途について確認するための書類

ここでは、あまり耳慣れない(2)と(3)について詳しくご説明します。

低未利用土地等であることの確認に必要な書類とはどんなもの?

確認に必要な書類は、以下になります。

1. 低未利用土地等確認申請書
2. 売買契約書の写し
3. 以下いずれかの書類
 A. 所在市区町村等が運営する空き地・空き家バンクへの登録が確認できる書類
 B. 宅地建物取引業者が、現況更地・空き家・空き店舗である旨を表示した広告
 C. 電気、水道またはガスの使用中止日が確認できる書類
 D. (A〜Cが提出できない場合)その他要件を満たすことを容易に認めることができる書類

空き地・空き家バンク

上記3.-A. にある 「空き地・空き家バンク」とは、空き地・空き家の賃貸もしくは売却を希望する所有者とその利用を希望する人とを結びつける制度です。各市区町村で設置するものですが、設置されていない地区町村もあります。

参考サイト: 埼玉県 市町村空き家バンク

宅地建物取引業者がサインすることでも低未利用地と証明できる

上記3-D. については、宅地建物取引業者が所定の様式に記入することで、申請する土地が「低未利用土地」であると確認できます。宅建業者が介入しない場合は、2方向以上からの写真とあわせて現地調査やヒアリングを行わなければなりません。宅建業者のはたす役割は大きいと言えるでしょう。

譲渡後の利用用途についての確認に必要な書類とは?

譲渡後の土地の利用頻度が高くなることが「低未利用土地の特別控除」の条件の1つでもあるため、そのための書類も大切な意味を持ちます。

宅地建物取引業者が仲介する場合としない場合で提出する書類が異なります。宅地建物取引業者の仲介による譲渡の場合は「宅地建物取引業者による署名」が必要であり、そうでない場合は「譲渡された側(個人・会社など)の署名」をします。

特例措置を活用し、不動産業界の活性化を

不動産業界の活性化
今回の制度は、使い道がない土地を所有している人からの注目度も高く、特に、低額で土地が売買されることも多い地方では、幅広い利用が期待されています。特例措置の活用で、不動産業界を活性化させましょう。

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内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定を受けた業界最古の全国組織である公益社団法人 全日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部は、埼玉県下全域で5つの支部がある宅建業者約1,870店舗の会員で構成する団体です。

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