「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が、令和5年(2023年)12月13日に施行となりました。その中で定義されたのが管理されていない空き家である『管理不全空き家』です。ここでは、法改正のポイントとともに『管理不全空き家』について解説します。

平成27年(2015年)5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家を以下のように定義しています。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。
(平成27年(2015年)5月施行「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条第1項)
つまり具体的には、以下のような家が「空き家」と言えるでしょう。
ここではさらに、空き家の種類についてご説明していきます。
平成27年(2015年)5月の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行から使われはじめた言葉が「特定空き家」です。
空き家の基準プラス、上記のような倒壊の危険性や景観・衛生上の問題が生じる可能性の高い住宅は、「特定空き家」として自治体から認定されるおそれがあります。
また「特定空き家」として認定された場合、自治体から修繕や解体の命令を受ける可能性があり、空き家の所有者は状況を改善しなければなりません。

「管理不全空き家」とは、令和5年(2023年)12月13日に施行となった、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により新設された空き家の区分です。
「特定空き家」のように完全に放置されているという訳ではないのですが、上記のような危険性のある空き家を指します。「特定空き家」と認定されなければ、自治体から管理命令を出せません。自治体の早期介入により「特定空き家」にしないため、「管理不全空き家」という区分が新たに設置されました。
「管理不全空き家」と「特定空き家」との違いは、以下になります。
「管理不全空き家」は、あくまで空き家の管理を促すための措置であるのに対し、「特定空き家」は所有者に対して行政の直接介入するのが大きな違いです。
総務省による「住宅・土地統計調査」によれば、二次利用・賃貸・売却などの住宅を除いた「居住目的のない空き家」の数は、この20年間で182万戸から349万戸へと、約1.9倍に増加。現在のトレンドを踏まえると2030年頃には約470万戸、20年前のほぼ2倍に増えると想定されています。
家屋は、適切な管理がなされていないと劣化が早く進むものです。放置された空き家は、倒壊など保安上危険であり、ゴミの不法投棄やネズミをはじめとする動物の繁殖など、衛生面でも悪影響を及ぼします。そのため、各自治体から国に対し、空き家問題への法制度を求める声が上がっていました。

ここでは、令和5年(2023年)12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」のポイントをみていきましょう。
街の中心市などに空き家が多くなってくると、その地域本来の機能を低下させるおそれがあります。しかしながら家が密集している地域では、古い家屋の建て替えや改築を行うにしても建築基準法等の規制が妨げとなり、空き家の活用を進める上での課題となっていました。
「空き家等活用促進区域制度」では、市区町村が区域と活動方針を定められるように改正。区域内の空き家を対象に建築基準法等で定められている接道(建物を建てる敷地に接している道路)や用途の規制が緩和されたことで、これまで難しかった空き家の建て替えや用地変更が促進されるでしょう。
「特定空き家」になるおそれがある空き家は増えていく一方です。そのため今回の改正では、各自治体(市区町村長)より、放置すれば特定空き家になる可能性のある空き家を「管理不全空き家」として、指導・勧告できるようになりました。
勧告に従わない場合、その空き家に対する固定資産税の住宅用地特例を解除され、それを怠ると50万円以下の過料を科されます。さらに、所有者の行方がわからないといった理由で管理が難しいと判断された場合は、「行政代執行」により解体が行われる可能性もあるので、所有者には早急に対応する義務が発生します。

自治体が所有者に対し「特定空き家」の管理に関する指導・勧告をしても改善されない場合、行政代執行で強制的に空き家の解体工事を進めます。しかしこれまでの制度では、手続きの関係で、着手に時間を要していました。
倒壊のおそれや屋根の瓦や、塀が崩れ落ちそうで災害時の避難経路を塞ぐおそれがある場合などは、早急な対応を必要とします。そのため今回の改正では特定空き家の除却等を円滑に進めるため、命令等の手続きを経ずとも行政代執行が可能になるなど手続きの簡略化がなされました。
法改正では、空き家を活用するとともに、空き家の状態によっては除却が促進されるよう税制措置も見直しされました。
「空き家の活用」は、地域コミュニティの維持・再生のため、10年以上の利用という条件のもとに、以下のような補助があります。
| 空き家活用実行者 | 国の補助率 | 市区町村の補助率 | 所有者負担 |
| 空き家所有者 | 1/3 | 1/3 | 1/3 |
| 市区町村 | 1/2 | 1/2 | - |
「空き家の除去」においては、以下のような補助があります。
| 除却実行者 | 国の補助率 | 市区町村の補助率 | 所有者負担 |
| 空き家所有者 | 2/5 | 2/5 | 2/5 |
| 市区町村 | 2/5 | 3/5 | |
| 市区町村(略式代執行の場合) | 1/2 | 1/2 |
上記のほかにも「空き家の所有者の特定」や「空き家の除去後の土地整備」など、国から地方公共団体への支援が複数あります。
住宅政策上の見地から、税負担の軽減を図るために設けられているのが「固定資産等の住宅用地特例」という優遇税制です。土地が住宅用地に該当していれば、固定資産税が減税となるもので、建物が建っている土地の固定資産税が1/3もしくは1/6となります。
| 小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) |
一般住宅用地 (200㎡を超える部分) |
|
| 固定資産税の課税標準 | 1/6に減額 | 1/3に減額 |
しかし適切な管理がなされていない空き家については、住宅用地特例の適用対象から除外。つまり解除され、固定資産税の負担が大幅に増加する可能性があります。したがって、固定資産税対策として、空き家の処分や除却を検討する必要が出てくるのです。
さらにその物件が「市街化区域内」の場合、固定資産税だけでなく都市計画税も3倍となるため、注意が必要です。
上記のように、法改正により「空き家」をそのままにしておくことは、固定資産税の負担など所有者に大きなデメリットを招きます。また、空き家の放置は景観を損ない放火や火災のリスクを高めるなど、近隣住民にとっても大きな問題となりかねません。
長期間利用していない家を「空き家」にしないよう、適切な管理と対策を行う必要があります。

国土交通省によると、空き家の取得経緯の約55%が相続によるもの(令和元年)。高齢者社会のいま、空き家に関する問題も増えていくことでしょう。
平成30年、埼玉県の空き家数は34万6千戸と全国で8番目の多さです。人口は令和2年をピークに減少しているため、世帯数も令和7年をピークに減少するとみられています。
除却すべき空き家は除却し、活用できる家は活用するとの考え方のもと、適切な維持管理を行っていかなければなりません。
内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定を受けた業界最古の全国組織である公益社団法人 全日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部は、埼玉県下全域で5つの支部がある宅建業者約1,870店舗の会員で構成する団体です。
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