【民法改正】「契約不適合責任」でどう変わる?宅建試験でも注目? | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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【民法改正】「契約不適合責任」でどう変わる?宅建試験でも注目?


2020年4月1日、「120年ぶりの大改正」といわれる民法改正が行われました。これは、民法からの出題数が全体の3分の1である宅建試験にも大きな影響を及ぼすものです。そこで今回は、改正された新民法から「契約不適合責任」をとりあげてご紹介します。

民法改正

「契約不適合責任」とはどういうもの?

2020年4月の民法改正では、売主が買主に対して負う「瑕疵担保責任」に代わり「契約不適合責任」となりました。

「契約不適合責任」では、旧民法に比べて買主側の請求権が増え、売主側の責任が重くなります。そのため、売主は民法の改正内容をよく熟知し、理解しておかなければなりません。

参考サイト
住宅業界に関連する 民法改正の主要ポイント(国土交通省サイト)

買主に認められるようになった権利

1. 追完請求

「追完請求」は、不動産業界において「修補請求」とも言われ、種類・品質・数量などが契約内容と異なっていた場合、「追完請求」により買主は売主に完全なものの提供を求めることができます

たとえば、中古物件のため雨戸の一部が壊れている場合、売買契約書にその旨が書かれていないようであれば、売主に雨戸の修補を請求することが可能です。

旧民法では認められていなかったものですが、民法改正により変更となりました(改正民法第562条)。

関連情報
買主の追完請求権(全日本不動産協会サイト「法律・税務・賃貸Q&A」)
壊れた雨戸

2. 代金減額請求

売主に1.の追完請求を行ったけれど修補しない、もしくは修補ができないという場合は、買主は売主に対して代金を減額してもらえるよう「代金減額請求」が行えます。

また、修補できないのが明らかである場合は、追完請求せず、すぐに代金減額請求を行うことが可能です(改正民法第563条)。

3. 債務不履行による損害賠償請求

2.の代金減額請求で補えきれないものについて、買主は売主に対して損害賠償の請求ができます。

旧民法では、債務不履行についての規定がなく、線引きが難しいものでした。今回の改正民法では、履行不能の場合に債権者がその債務の履行を請求できない旨を明文化しています。また、履行不能は「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能である」と規定されました(改正民法第412条)。

さらに、旧民法の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求では、「瑕疵があることを知った時から1年以内に請求」する必要がありました。これが契約不適合責任では、「不適合を知った時から1年以内に通知」に変更されています(改正民法第566条)。

4. 債務不履行による解除権

1.の「追完請求」を行ったにも関わらず売主が応じない場合、買主が契約を解除できるのが「解除権」です。

売主が追完請求に応じない場合、買主は、代金減額請求では納得がいかない場合もあるでしょう。その場合、売主は購入をやめ、契約はなかったものにできます。そして売主には、売買代金を返還する義務が生じます。

また「無催告解除」の規定もあらたに創設されました(改正民法第542条)。
契約の内容とは異なり契約の目的も果たせないときには、すぐに契約を解除できます。しかしこの規定は、目的を達成できないときに限り行使される権利であり、多少の不具合で補修できる場合は認められません。
不動産の売買契約

契約内容は、詳細に書きましょう!

新民法の「契約不適合責任」では、「契約の内容と合致しているかどうか」が大きなポイントです。

売主は買主に重要事項などの詳細をしっかりと告知するとともに、明文化しておくことがとても重要です。また買主においても、買主が知った売買物件の不備などを、契約書に記載しておく必要があります。

新民法では、これまで以上に売主と買主の双方で良いコミュニケーションを構築する必要があります。

公益社団法人全日本不動産協会 埼玉県本部 公益社団法人不動産保証協会 埼玉県本部

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