令和3年4月に民法の物権編等を改正する法律が成立しました。相隣関係と共有は、その改正の対象になっていますが、改正法の施行は令和5年4月の予定なので、令和4年の宅建試験には出題されません。令和4年の試験に出題されるとしたら、改正されていない部分だけでしょう。そこで、今回は、改正されていない規定のうち出題の可能性の高い部分をピックアップして以下に紹介することにします。
土地が他の土地に囲まれているため、公道に出られないときは、その土地を囲んでいる他の土地を通行できる権利を有します。この場合、通行の場所および方法は、通行権者のために必要であり、かつ、通行地のために損害の最も少ないものを選択しなければなりません。必要があれば通路を開設できますが、通行地に損害が生じたときは償金を支払う義務を負います。
ただし、土地の分割または一部譲渡により、公道に出られない土地が生じたときは、他の分割者等の土地のみを通行できます(この場合償金の支払いは不要)。

土地の所有者は、隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはなりません。土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはいけません。水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができます。高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、または自家用もしくは農工業用の余水を排出するため、公の水流または下水道に至るまで、低地に水を通過させることができます。
建物を築造する場合は、境界線から50cm以上の距離を保たなければなりません。また、境界線から1m未満の距離内に、他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける場合は、目隠しを付けなければなりません。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。なお、持分の割合が不明のときは均等であると推定されます。
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います。共有者が、1年以内にこの負担義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます。
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権(たとえば、共有物の修理費用)は、その特定承継人(共有者からその持分権を譲り受けた者など)に対しても行使することができます。
共有者の一人がその持分を放棄したとき、または相続人なくして死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属します。

下記問題は○×問題です。
Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。(R2・10 月 問1)
不動産の共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は国庫に帰属する。(R2・12月 問10)
公道に通じない土地の所有者が、共有土地の分割によって他の分割者の土地を通行する場合は、償金を支払う必要がない。
共有者の一人が相続人なくして死亡した場合、その持分は他の共有者に帰属する。
植杉 伸介
宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。
このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2022年3月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。
内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定を受けた業界最古の全国組織である公益社団法人 全日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部は、埼玉県下全域で5つの支部がある宅建業者約1,870店舗の会員で構成する団体です。