宅建士試験合格のコツ・宅建業法5-重要事項説明書と37条書面~両書面の記載事項とその違い | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

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宅建士試験合格のコツ・宅建業法5-重要事項説明書と37条書面~両書面の記載事項とその違い


重要事項の説明、重要事項説明書(35条書面)への記名押印および37条書面への記名押印は、必ず宅建士が行わなければなりません。それゆえ、宅建士になるための試験である宅建試験において、重要事項の説明と37条書面に関する事項は、頻出論点となっています(毎年4問以上出題)。

不動産契約中

重要事項説明書の記載事項(説明事項)

記載事項(重要事項説明の対象となる事項)の問題は毎年出題されますが、記載事項の数は非常に多く、すべてを暗記して試験問題に対処することは不可能です。そこで、すべてを暗記しなくても、解答できるようになる方法をアドバイスします。

①まず、テキストで記載事項全体に目を通す

実際に宅建士が説明している場面を想像しながら、全体的なイメージをつかんでください。記載事項をすべて暗
記しようとする必要はありません。

②次に、記載事項に関する過去問を解く

自分が説明を受ける買主等になったつもりで、問題を解いてください。自分だったら、これは契約締結前に説明を
受けておきたい重要な情報だと思うかどうかで、記載事項かどうかを判断して問題を解くとよいでしょう。

③過去問で間違えた部分を意識的に暗記する

過去問を解いたとき、自分は重要だと思ったのに記載事項でなかったり、反対に重要ではないと思ったのに記載事項であったりした部分は、意識的に覚えておかないと、類似の問題が出題されたときに間違えてしまう可能性が非常に高いです。

以上の①~③のプロセスを2~3回繰り返せば、記載事項の問題の正解率は飛躍的にアップするはずです。

両書面の記載事項の違い

重要事項説明書と37条書面については、両者の性質の違いを理解しておくことが大切です。重要事項説明書は主に当該物件に関する客観的情報を契約締結前に提供するためのものであるのに対し、37条書面は当事者が契約で定めたことを記載して契約締結後に交付するものです。

両書面の記載事項には、次頁のようなまぎらわしい部分があるため、それをチェックしておきましょう。

重要事項説明書では、金銭の貸借のあっせんの「内容」と、あっせんに係る金銭の貸借が「成立しないときの措置」の両方を記載します。これに対し、37条書面では、あっせんに係る金銭の貸借が「成立しないときの措置」のみを記載し、あっせんの「内容」は記載しません。

瑕疵担保責任に関し重要事項として説明が必要になるのは、「瑕疵担保責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講ずるかどうか、講ずる場合におけるその措置の概要」です。

瑕疵担保責任を負うか負わないかといったことは、説明の対象とはなっていません。これに対し、37条書面の記載事項とされているのは、「瑕疵担保責任またはその履行に関して講ずべき保証保険契約の締結等の措置について定めがあるときは、その内容」です。

瑕疵担保責任そのものについて法律の規定とは異なる定め(当事者間での取決め)があるときと、瑕疵担保責任に関して講ずべき保証保険契約の締結等の措置について定め(当事者間の取決め)があるときに、それぞれその内容(定めの中身)を記載します。

論点の確認と知識定着のための過去問2問

下記問題は○×問題です。

【Q1】 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介における重要事項の説明において、借賃の額並びにその支払の時期及び方法について説明するとともに、37条書面に記載しなければならない。(H28年 問30)

【Q2】 建物の売買においては、その建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。(H30年 問35)

過去問の解答と解説

【A1】×
借賃の額等は、最終的には契約で決めることであるため、37条書面には記載が必要となる。しかしこれは、契約締結前に説明すべき事項ではないので、重要事項の説明対象ではない。

【A2】○
瑕疵担保責任の履行に関し保証保険契約等の措置を講ずるかどうかということと、講ずる場合の措置の概要は重要事項説明書の記載事項である。

植杉 伸介

早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2019年9月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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