宅建士試験合格のコツ・宅建業法4-媒介契約の締結と基礎知識 | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・宅建業法4-媒介契約の締結と基礎知識


本試験において、媒介・代理契約の規制に関する問題は、毎年1問出題されることが定番化しています。出題内容はほぼ限定されており、未知の知識を問うよ うな難問の出題はほとんどありません。

過去の本試験問題をしっかり押さえれ ば、確実に1点をゲットできるようになります。

不動産契約

媒介契約の種類

一般媒介は、同じ物件を他の業者に重ねて依頼できる契約、専任媒介は、同じ物件を他の業者に依頼できない契約です。

「明示義務」とは、依頼者が他の業者に重ねて依頼した場合、その業者名を明示する義務のことです。

専任媒介は、「専属」という文言の有無で区別されますが、これは自己発見取引が許されるかどうかの違いです(「専属」だと、依頼者が自ら発見した相手方と取引することも禁止されます)。

媒体契約

専任媒介契約特有の規制

専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)には、 以下の特有の規制が課されており、これらの制限に反する特約をした場合、無効とされます。

専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)への制限

専任媒介契約特有の規制に関して注意すべきポイントは、次のとおりです。

  • 契約の相手方の探索方法における「7日」「5日」の日数に、当該宅建業者の休業日は含まない。
  • 業務報告は、書面で行う必要はない。
  • 依頼者からの申出がある場合に限り、有効期間を更新できる(更新後の期間も3カ月以内)。
  • 指定流通機構に登録した業者は、登録証を遅滞なく依頼者に引き渡し、当該物件の契約が成立したときは、遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければならない。

媒介契約の書面化

宅建業者は、売買・交換の媒介契約(貸借の媒介契約は含まれていない)が成立したら、遅滞なく、その内容を書面化し、宅建業者の記名押印をしたうえで、依頼者に交付しなければなりません。媒介契約書面には、次の事項を記載する必要があります。

  1. 宅地・建物を特定するために必要な表示(所在、地番、面積等)
  2. 宅地・建物を売買すべき価額または交換の場合の評価額
  3. 媒介契約の種類(一般・専任などの区別)
  4. 当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
  5. 媒介契約の有効期間および解除に関する事項
  6. 指定流通機構への登録に関する事項
  7. 報酬に関する事項(報酬額、消費税、支払時期等)
  8. 契約違反をしたときの措置(専任媒介なのに他の業者に依頼した場合等)
  9. 媒介契約が国土交通大臣の定める標準媒介契約約款に基づくものか否かの別

上記の記載事項に関して注意すべきポイントは、次のとおりです。

  • 2.の価額・評価額について宅建業者が意見を述べるときは、必ず根拠を示す必要がある(書面によらず口頭で示す方法でもよい)。
  • 5.の有効期間は、一般媒介契約であっても必ず記載しなければならない。
  • 6.の指定流通機構は、一般媒介契約でも記載が義務づけられている(指定流通機構 に登録しない場合は「登録しない」と記載する)。

論点の確認と知識定着のための過去問2問

下記問題は○×問題です。

【Q1】宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者でないEから宅地の売却についての依頼を受け、専属専任媒介契約を締結したときは、当該宅地について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め5日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。(H28年 問41)

【Q2】宅地建物取引業者A社がBと一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結した場合、A社がBに対し当該土地付建物の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。(H24年 問29)

過去問の解答と解説

【A1】×
専属専任媒介契約を締結したときは、その日から5日以内に指定流通機構に登録する義務があるが、その日数に休業日は含めない。

【A2】○
依頼された物件の価額または評価額について意見を述べるときは、必ず根拠を明らかにしなければならない。このことは、一般媒介契約であっても変わらない。

植杉 伸介

早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2019年8月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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