宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~不動産登記法~ | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~不動産登記法~


本試験において、不動産登記法からは毎年1問出題されます。細かな点が問われることもあり、確実に1点をゲットすることは難しいですが、過去に出題が多かった論点は押さえておきたいところです。今回は、2~3年に1回くらいの頻度で出題されている区分建物(マンション等)の登記にスポットを当ててみたいと思います。

不動産登記法

1.区分建物の登記記録の構成

区分建物では、各専有部分ごとに区分して所有されるので、登記記録も各専有部分(規約共用部分とされている場合も含む)ごとに作成されます。しかし、表題部に記録されている情報が、その専有部分に関するもののみであるとすると、登記を見てもマンション全体の構造や共用部分に対する権利関係等を知ることができません。

そこで、区分建物の場合、表題部として①一棟の建物全体の表題部と②当該専有部分の表題部が設けられます。
区分建物の登記記録の構成

2.区分建物の所有権保存登記

所有権保存登記は、表題部所有者(マンションでは分譲業者が該当)でなければ申請できないのが原則です。しかし、区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者(マンションの購入者)も、所有権保存登記をすることが認められています(ただし、敷地権の登記名義人の承諾を得る必要はあります)。

3.表題登記の申請

区分建物の表示の登記の申請は、一棟の建物全体について一括して申請しなければなりません。専有部分を購入した者が、各自で表示の登記を申請したのでは、いつまでたっても登記がそろわないおそれがあります。そこで、マンションを建てて、最初の所有者になった者(分譲業者)が全部まとめて申請することにしたのです。

4.規約共用部分の登記

集会室などの規約共用部分は、区分所有者全員の共有に属します。したがって、本来なら、権利部に登記されるべき事項です。しかし、区分所有者全員の共有名義を記録するとなると、非常にごちゃごちゃした登記となりますし、専有部分の譲渡が行われたときに面倒です。

そこで、規約共用部分は、規約共用部分とされた専有部分の表題部に登記されることになっています。

5.敷地権の登記

マンションの敷地を利用する権利は、土地に対する権利ですから、その登記の申請は、土地の登記記録について行われるはずです。

しかし、区分所有権と敷地利用権の分離処分は禁止されているので、敷地利用権は区分所有権と一体化され運命をともにします。それなら、登記記録上も敷地利用権を建物の区分所有権に一体化してもよいことになります。そこで、敷地利用権に関する登記は、区分建物の登記記録の表題部に記録するように申請することができるとされています。このように区分建物登記の表題部(全体の表題部および各専有部分ごとの表題部)にその存在が表示された敷地に対する権利のことを敷地権といいます。

ただ、敷地権は土地に対する権利なので、土地の登記記録に何も記録しないというわけにはいきません。そこで、敷地権の表示の登記をするときは、登記官が職権で土地の登記記録について、所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならないとされています。
敷地権の登記

6.敷地権の登記の効力

敷地権の登記が建物登記簿の表題部に行われるのは、区分所有権と敷地権が分離されず一体になっているからです。それゆえ、敷地権の表示の登記をした後、区分建物についてなされた登記は、原則として土地の敷地権についてされた登記としての効力を有することとされています。

たとえば、専有部分の所有者Aがその所有権をBに譲渡し、専有部分の権利部にA→Bという所有権移転登記をすると、同時に敷地権もA→Bへと移転したという効力を持ちます。

これに対して、たとえば、Aが専有部分の所有権のみをBに移転する登記をすることは、区分所有権と敷地権を分離することになるので、認められないことになります。土地または建物のみを対象にして抵当権を設定する登記も同様です。将来、抵当権が実行されると、区分所有権と敷地権が分離してしまうからです。
ただし、このような区分所有権と敷地権の分離に結びつく登記でも、土地が敷地権の目的となる前に、登記原因が生じていた場合などは、例外的に認められています。分離処分が禁止される以前に原因があった以上、やむを得ないということです。

論点の確認と知識定着のための問題

下記問題は○×問題です。

【Q1】

区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。(R2-12月 問14)

【Q2】

登記官は、区分建物について敷地権の表示の登記をしたときは、敷地権の目的たる土地の登記記録の表題部に敷地権となった旨の登記をしなければならない。(H8問15改)

問題の解答と解説

【A1】○

区分建物の表題登記は、一棟の建物全体について一括して申請する必要があります。

【A2】×

敷地権の表示の登記をしたときは、敷地権の目的たる土地の登記記録の表題部ではなく、権利部の相当区に、敷地権となった旨の登記をする必要があります。

植杉 伸介
宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2022年10月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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