宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~民法(不動産登記法)~ | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~民法(不動産登記法)~


民法・不動産登記法

1.相隣関係

(1)境界を超えた竹木の枝・根
土地の所有者は、隣地の竹木の「根」が境界線を越えるときは、自分で切り取ることができますが、「枝」が越境してきたときは、その竹木の所有者に切除させることができるのであり、自分では切り取ることができませんでした。しかし、法改正により、右記の場合は越境した「枝」を自分で切り取ることができるようになりました。
境界を超えた竹木の枝・根
(2)隣地使用権
土地の所有者が隣地の使用を請求できる場合として、従来は下記の①のみが定められていましたが、法改正により②と③が追加されました。
隣地使用権
(3)ライフライン設備の設置・使用権
土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用しなければ電気・ガス・水道等の継続的給付を受けられないときは、必要な範囲内で他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用することができます。

2.共有

(1)共有物の管理行為
これまで共有物に変更を加える行為をする場合は、共有者全員の同意が必要とされていましたが、法改正により、軽微な変更については共有持分の価格に従い、その過半数で決定できることになりました。なお、軽微な変更とは、共有物の形状または効用の著しい変更を伴わない変更をいいます。

共有物の管理は、行為の種類に応じて、下のように行われることになります。
共有物の管理行為
(2)相続財産に属する共有物の分割
相続が発生してから遺産分割されないまま長期間放置されると、相続が繰り返されて多数の相続人による遺産共有の状態となるため、遺産の管理・処分が困難になります。そこで、相続開始の時(被相続人死亡の時)から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した個々の相続人の具体的な相続分)によらず、法定相続分(または遺言により指定された相続分)によることとなりました。

(3)所在等不明共有者の不動産の持分
不動産が共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない(所在等不明共有者がいる)ときは、共有者は、裁判所に申し立て、その決定を得て、所在等不明共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第三者に譲渡することができるようになりました。

論点の確認と知識定着のための問題

下記問題は○×問題です。

【Q1】

土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。(予想問題)

【Q2】

共有物に変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)を加えることは、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。(予想問題)

問題の解答と解説

【A1】✘

本問のような場合は、実際上、竹木の所有者に切除させることができないので、土地の所有者が越境してきた枝を自ら切り取ることができます。

【A2】✘

著しい変更を伴わないもの、つまり軽微な変更であるものを除いているのですから、当該変更行為は軽微ではありません。したがって、共有者全員の同意がなければ決することができません。

植杉 伸介
宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を35年以上務める。著書に『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士2023』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2024年1月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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