宅建業コラム

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ブロックチェーンとは?~みんなで共有・管理する「価値」ネットワーク~

更新日:2019年05月27日

仮想通貨(ビットコイン)の登場で話題になっているブロックチェーン。聞いたことはあっても実際にはわからないことも多いのではないでしょうか? 今回はさまざまな業界で活用され始めたブロックチェーン技術について、基本的な仕組みや不動産業界での活用方法、不動産業者にとってのメリットなどについて紹介します。

blockchain ブロックチェーン

管理者がいなくても安全な仕組み

インターネットは、さまざまな情報をサーバーで集中管理し、情報のクローズ化とサーバーのセキュリティ機能を向上させることで、機密性や安全性を担保しています。

一方、ブロックチェーンはサーバーによる管理ではなく、複数の参加者がインターネットなどを通じて、資産や権利などの情報を共有しながら管理する「分散型台帳技術」。
1カ所でデータが失われても、他の場所のデータから復元し、システムが維持されるため、サーバーを攻撃しデータの改ざんが行われるリスクがありません(図1)。

サーバーとブロックチェーンによる管理の違い

またブロックチェーンは、さまざまなデータを一定時間ごとに集約した「ブロック」がつながっていく(チェーン)仕組みですが、ブロックには必ず過去のデータが含まれています。ある一部を改ざんするとそれ以降のブロックもすべて変更する必要があるため、実質的には改ざんは不可能といえます。

さらに、コンピューターごとに異なるバージョンが生まれたり、途中で改ざんされてチェーンが枝分かれしたりした場合でも、「一番長いチェーンが正しい」というルールが決まっています。システム全体がルールに従って動くため、対象外のチェーンは自動的に破棄。一定のルールに従って相互に監視することで、管理者(サーバー)がいなくても機密性や安全性、可用性(システムが継続して稼働できる能力)を実現するとともに、サーバーの維持管理コストがかからず、サーバーダウンに影響されない安定したシステムという点も大きなメリットとなっています。

二重の“鍵”でプライバシー保護と不正使用防止を実現

ブロックチェーンは、単なるデータベースではなく、「価値」が伝達できることが最大の特徴です。正確で機密性の高い情報資産の移転を実現するため、人や企業といった資産の所有者とそれに関するデータ・情報をひも付けるときには、自分用の「秘密鍵」と、誰にでも発行できる「公開鍵」のセットで管理する「公開鍵暗号方式」を採用しています。

これによって情報資産の所有から譲渡の流れ、用途に至る情報を、プライバシーを保護しながら確実に管理し、情報資産の不正使用や二重利用を防止することができます。

業界横断型のプラットフォーム構築の動き

ブロックチェーンの技術は、金融に加え流通、証券取引など幅広い分野での応用が可能とされ、経済産業省では潜在的な国内市場規模が67兆円になると予測。不動産分野でも、不動産登記を含めた不動産情報の記録や管理、不動産取引の電子化・自動化、不動産管理の効率化などへの活用が期待されています。

2018年10月に(株)LIFULLや(株)NTTデータ経営研究所、全保連(株)、(株)ゼンリンなど8社で発足した「ADRE(不動産情報コンソーシアム)」では、ブロックチェーン技術を活用した不動産情報の共有化と、業務の効率化や円滑な不動産取引の実現に向けた活動をスタートしました。

不動産には住所や築年数、間取り、取引情報など多くの情報がひも付いていますが、これらは不動産業者だけでなく、電気・ガス・通信会社や行政など、さまざま組織が個々に情報を持っています。ADREではこれらを一元化・共有化し、業界横断型で中立・公的なプラットフォームとして構築していくことを目指しています(図2)。

図2 業界横断型の中立・公的なプラットフォームの構築

まずはその基礎となる物件(部屋)ごとのIDを作成・発行するためのルール、データの登録形式の標準化などについて検討しており、実証作業を行いながらデータの有用性を高める基盤を構築。2019年度中に試用版、2020年度以降に普及版を発表していく計画です。

メンバーの(株)LIFULL・ブロックチェーン推進グループ長の松坂維大氏は、「ID作成には最初の入力作業は必要だが、台帳を共有化すればID入力だけですべての情報が得られるようになる。そうなれば業界全体で利便性が高まり、取引の活性化にもつながる」としています。また(株)NTTデータ経営研究所・情報戦略事業本部の桜井駿氏も「アナログ業務が効率化できれば、プロとしての評価・判断業務やコンサルティング業務に専念できるようになる。中小の不動産業者にとってもチャンスだ」と指摘します。

(株)LIFULLの松坂維大氏(左)と(株)NTTデータ経営研究所の桜井駿氏

一方で、ブロックチェーンの技術自体の歴史が浅く、実ビジネスでの運用モデルが少ないため、不確定要素が多いことが課題です。「そのためにもADREとして早くビジネスモデルを提示し、具体的なメリットを示したい」(松坂氏)とのこと。また、掲載情報の正確性の確認技術、情報開示時の個人情報の取扱い、登記簿の扱いなど、技術・制度面での課題もあります。桜井氏は「技術面の向上に加え、関連データベースや国・行政機関、業界団体などとも連携しながら、業界モデルを作っていきたい」とし、最終的には不動産業者・消費者が同じプラットフォームで取引できるような仕組みを目指していく方針です。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2019年3月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。