宅建士試験合格のコツ・宅建業法~広告等に関する規制~ | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・宅建業法~広告等に関する規制~


消費者を保護することは、宅建業法の重要な目的です。そのためには、宅建業者が行う広告等を規制する必要があります。本試験において、広告等の規制に関する問題は毎年1問以上出題されています。内容には難しくないので、確実に得点できるようにしておきたいところです。

1. 誇大広告等の禁止

誇大広告というのは、簡単に言えばウソの広告、見た人を勘違いさせる広告です。誇大広告は、消費者に大きな損害をもたらすおそれがあるので、宅建業法で禁止されています。
宅建業法
誇大広告等の禁止については、次の3点に注意してください。
誇大広告

2. 広告開始時期・契約締結時期の制限

業者は、物件の工事完了前において、当該工事に関し必要とされる確認・許可・処分・承認等(都市計画法の開発許可、建築基準法の建築確認等)があった後でなければ、当該物件の取引に関する広告・契約をしてはなりません。広告・契約は、とにかく許可等の処分を受けた後でなければならないので、許可等の申請中であることを明示したとしても、許可等を受けていない以上、広告・契約をすることはできません。建築確認
規制の対象となる取引の範囲が広告の場合と契約の場合とで異なっていることに注意してください。それは、広告開始時期の制限は、貸借の代理・媒介を含めたすべての宅地建物の取引に適用されますが、契約締結時期の制限の方は、貸借の代理・媒介には適用されないという点です。売買・交換に比べて貸借なら損害額が小さいですし、広告は多くの人が被害を受ける可能性があるのに対し、契約で被害を受けるのはその契約の相手方だけだからです。
広告開始時期の制限

3. 取引態様の明示義務

宅建業者は、広告をするとき、および注文を受けたときは、自分がどういう立場で取引に関与しているか(取引態様)を明示しなければなりません。つまり、自ら売主なのか、媒介なのか、代理なのかといったことです。受験対策上、取引態様の明示義務について注意すべきは、次の2点です。
取引態様の明示義務

論点の確認と知識定着のための問題

【Q1】

宅地建物取引業者は、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った場合、宅地建物取引業法の規定に違反する。

【Q2】

宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買、交換または貸借に関する広告をするときに取引態様の別を明示していれば、注文を受けたときに改めて取引態様の別を明らかにする必要はない。

問題の回答と解説

【A1】⚪︎

広告開始時期の制限は、貸借の代理・媒介にも適用されます。したがって、建築確認を受ける前に広告をすると宅建業法違反となります。

【A2】×

広告をするときに取引態様を明示していても、注文を受けたときは改めて取引態様を明示しなければなりません。

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2023年3月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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