宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~区分所有法~ | 全日本不動産協会 不動産保証協会 埼玉県本部

宅建業コラム

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宅建士試験合格のコツ・権利関係 ~区分所有法~


本試験において、区分所有法からは、毎年1問出題されます。正解するために必要な知識の量は多めですが、理論的な難解さはありません。過去問レベルの知識をしっかり押さえれば、得点源にすることも可能です。今回は、区分所有建物の敷地、管理組合の規約、区分所有建物の復旧・建替えについて学習していきます。

1.敷地

種類

敷地、種類

(2)敷地利用権

敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいいます。敷地利用権の一般的な形態としては、①土地の所有権の共有(土地付きマンション)、②地上権・賃借権の準共有(借地権つきマンション)とがあります。

(3)分離処分の禁止

敷地利用権を数人で共有(準共有)する場合、規約に別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権を分離して処分することはできません。

なお、この点については、専有部分と共用部分の分離処分禁止との対比が重要です。
敷地、分離処分の禁止

2.規約

(1)規約の設定等

規約の設定・変更・廃止は、区分所有者および議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によります。ただし、一部共用部分に関する規約を区分所有者全員で行う場合、一部区分所有者の「①頭数または②議決権」のどちらか一方でも1/4超の反対があれば設定できません。

一部共用部分とは、一部の区分所有者のみが所有し、利用する共用部分をいいます。たとえば、下層階に店舗、上層階に住居のあるマンションで、居住部分の区分所有者のみが利用する出入り口やエレベーター室など。

(2)公正証書規約

最初に専有部分の全部を有する者(分譲業者等)は、公正証書により単独で規約を設定することができます。

(注)公正証書規約を定めることができるのは、「最初に」専有部分の全部を所有する者に限られる点に注意。

3.復旧および建替え

(1)共用部分の復旧

①小規模滅失の場合(建物の価格の2分の1以下の部分が滅失した場合)
各区分所有者は、原則として、単独で復旧することができますが、復旧について集会の決議(普通決議)または建替え決議があったときは、その決議に基づいて行わなければなりません。

②大規模滅失の場合(建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合)
区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によらなければなりません。この決議に賛成しなかった区分所有者は、賛成した区分所有者(外部の業者等を買取指定者としたときは、その買取指定者)に対して、建物と敷地の権利を時価で買い取るよう請求することができます。

(2)建替え決議

区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数による集会の決議により、建物の建替えを決議することができます。建替えに参加する区分所有者(外部の業者等を買受指定者としたときは、その買受指定者)は、建替えに参加しない区分所有者に対して、その建物と敷地の権利を時価で売り渡すよう請求することができます。

論点の確認と知識定着のための問題

下記問題は○×問題です。

【Q1】

規約の設定、変更または廃止を行う場合は、区分所有者の過半数による集会の決議によってなされなければならない。(H30 問13)

【Q2】

区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議が集会においてなされた場合、決議に反対した区分所有者は、決議に賛成した区分所有者に対し、建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。(H10 問13)

問題の解答と解説

【A1】×

規約の設定・変更・廃止は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって行わなければなりません。

【A2】×

建替え決議の場合、建替え参加者から建替え不参加者に対して、売渡請求をすることができるのであって、決議反対者からの買取請求はできません。

植杉 伸介
宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。

このコラムは、全日本不動産協会が発行する月刊不動産2022年11月号に掲載された特集記事を一部改定したものです。

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