宅建業コラム

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「おとり広告違反」で不動産ポータルサイトに掲載停止されないために

更新日:2018年04月18日

「おとり広告違反」で不動産ポータルサイトに掲載停止されないために
(公社)首都圏不動産公正取引協議会(以下、公取協)は平成29年1月から「不動産ポータルサイトが協力して“おとり広告”を撲滅する施策」をスタートさせました。
主要ポータルサイトへの広告掲載が1カ月以上停止となった場合、不動産業者にとっては大きな打撃となります。特に1月から3月までの繁忙期ではなおさらのこと。
そこで、おとり広告として措置を受けないための対応策を、公取協の佐藤友宏事務局長と、アットホーム(株)の情報審査グループグループ長の篠塚一美氏に話を伺いました。

不動産広告の現状

「おとり広告」と「不当表示」

顧客を集めるために、売買・賃貸ができない物件の広告を出すことを「おとり広告」といいます。また、おとり広告のうち、実際に存在しない物件については「架空物件」といい、これらを広告することは、法規制等[宅地建物取引業法32条・不動産の表示に関する公正競争規約(以下、表示規約)21条]で禁止されています。

事例としては、

  • 契約済みで取引できない売買・賃貸物件を削除せずに掲載しているもの
  • 相場より安い価格や賃料で広告・集客したうえで「成約した」等の様々な理由を述べて他物件を紹介・案内すること

などが挙げられます。

また、売主が土地や建築条件付土地として取引しようとしている物件について、架空の建築確認番号を記載するなどして「新築住宅」等として広告することもおとり広告であり、実際のものよりも優良または有利であると誤認されるおそれのある「不当表示」にも該当します。

違反の大半を占めるネット広告

公取協では表示規約に違反した事業者に対し、違反内容に応じて「注意」「警告」「厳重警告」「厳重警告・違約金」のいずれかの措置を講じています。

下記の表1は、「厳重警告以上の措置に占めるインターネット広告の割合と件数」で、平成24年度以降はインターネットが80%を超え、違反件数は増減の振れ幅が多少あるものの、減少傾向にあるとはいえない状況です。

表1 厳重警告以上の措置に占めるインターネット広告の割合と件数(平成29年度は12月末までのもの)

表1 厳重警告以上の措置に占めるインターネット広告の割合と件数(平成29年度は12月末までのもの)

「厳重警告・違約金」は不動産ポータルサイトに1カ月以上掲載停止

「厳重警告・違約金」は不動産ポータルサイトに1カ月以上掲載停止
そこで公取協は平成24年3月、インターネットにおける広告表示の適正化を目的に、不動産情報サイトを運営する主要5社をメンバーとする「ポータルサイト広告適正化部会(以下、部会)」をスタートさせました。

さらに、平成29年1月からはおとり広告の排除をより強力に推進し、さらなる規制強化を図るため、公取協から「厳重警告・違約金」の措置を受けた不動産事業者は、前記の主要5社のポータルサイト(現在は11サイト:表2)に原則、1カ月以上広告掲載を停止する施策を開始。

表2 掲載停止対象サイト(平成29年12月現在)

サイト名 運営会社・団体
at home アットホーム(株)※
CHINTAI (株)CHINTAI※
マイナビ賃貸 (株)マイナビ※
LIFULL HOME’S (株)LIFULL※
SUUMO (株)リクルート住まいカンパニー※
ヤフー不動産 ヤフー(株)
いい部屋ネット ジューシィ出版(株)(いい部屋ネット事務局)
ラビ―ネット不動産 公益社団法人全日本不動産協会
スマイティ (株)カカクコム
健美家 健美家(株)
ハトマークサイト 公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会

※は「ポータルサイト広告適正化部会」のメンバー

公取協の佐藤事務局長は「これまでも各ポータルサイトで独自の対策が取られてきました。しかし、たとえばAサイトだけを掲載停止にしても、Bサイト、Cサイトに掲載できると効果が半減してしまうので、公取協から各社・団体に措置情報の提供をし、情報共有することで継続掲載はもちろんのこと、この施策に参画している未契約のポータルサイトとも少なくとも当該期間内は新規契約ができなくなる施策としました」と一斉に掲載停止としたことに大きな意味があると強調。

平成29年1月から12月までに掲載停止等の対象となった事業者は53社で、平成29年度における厳重警告以上の措置対象事業者数は44社となっています。

不動産の安全・安心取引に向けて

不動産の安全・安心取引に向けて

罰則で掲載停止とならないために

広告掲載停止とならないための対策について、佐藤事務局長は以下の点を挙げています。

  • 管理会社は正確な物件情報を客付する仲介会社(客付会社)に提供、客付会社はこまめな物件確認など、管理を徹底する
  • 契約(申込みを含む)となった時点で、すぐに削除する(次回の更新予定日まで掲載しない)
  • 従業者の人員に見合った件数を掲載する

「掲載件数を増やせば増やすほど違反する確率は高くなります。量よりも質の向上を目指してほしいです。正しい方法で画像数を増やすなど、見せ方を工夫し、目を引くような掲載を心がけてほしいです。自社HPを充実させることも一つの手段だと思います」と佐藤事務局長。

また、アットホームの篠塚氏も、「1週間に1回のメンテナンスと、掲載件数100件につき少なくとも1人の従業者の配置を推奨しています」とメンテナンスの大切さを力説。
同社では、成約済み物件の落とし忘れを防ぐため、元付会社が登録している物件の成約情報を定期的に確認し、それらの情報をネットで客付会社が公開している情報と付き合わせて客付会社へ共有しています。
また、事業者側からの成約報告を受けた場合、ポイントの付与サービスを行い、成約済み物件の継続広告防止の促進に役立てています。
さらに、同社の不動産業務総合支援サイト「ATBB」で元付会社が広告している物件を客付会社が二次広告機能を使って広告した場合、掲載データが連動されるため、成約後に元付会社が掲載情報を落とせば客付会社の掲載データも自動的に落ちる仕組みになっています。

「便利な機能なので、対策の一つとして利用してほしいです。しかし一番大切なことは、正確な情報発信をすれば、おとり広告にはならないと認識していただくこと。それが会社の信用につながるのではないでしょうか」と篠塚氏。
おとり広告がなくなれば、消費者の安心安全な取引へつながり、さらには業界への信頼が高まっていくと期待されます。