宅建業コラム

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改正された住宅セーフティネット法、入居支援で不動産業者がすべきこととは?

更新日:2018年04月18日

改正された住宅セーフティネット法、入居支援で不動産業者は何をするべき?
高齢者や障害者などへの安定的な住宅供給を目的として2007年に創設された「住宅セーフティネット法」。

2017年10月25日には改正法が施行され、新たな制度が加わりました。この改正では、空き家・空き室に悩む家主に対して財政支援策が盛り込まれていることも大きな特徴です。
そこで今回は、主な改正のポイントと、入居支援における不動産業者の関わり方について、解説いたします。

新しいセーフティネット制度、何が変わった?

新しいセーフティネット制度、何が変わった?

2020年度末に17.5万戸の確保を目指す

改正された新しい住宅セーフティネット法の正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」です。

今回の改正ポイントは3つあります。

  1. 高齢者世帯、障害者世帯、子育て世帯、被災者世帯、 低額所得世帯など(以下「住宅確保要配慮者」)に対して入居を拒まない「賃貸住宅の登録制度」の創設
  2. 登録住宅の改修や、入居者への経済的支援
  3. 住宅確保要配慮者への入居支援

「住宅確保要配慮者」の対象は、省令で外国人や東日本大震災の被災者、また地方公共団体が供給促進計画で定めれば、児童養護施設の退所者なども含みます。

国土交通省では、2020年度末までに全国で17万5,000戸の登録住宅確保を目指しています。

登録制度・改修費補助などで提供強化へ

新しいセーフティネットの主な取り組みは、次のようになります。

1.住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度
都道府県・市区町村が策定する 「住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画」をふままえ、賃貸人が「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅を「登録住宅」として都道府県・政令市・中核市に登録する仕組みです。

登録住宅については、規模や構造、設備などの基準に適合していることが条件で、シェアハウスについても「共同居住型住宅基準」を満たしていれば登録可能です。

2.登録住宅の改修や入居者への経済的支援
登録住宅に対する支援措置として、国や地方公共団体は、改修費補助や低額所得者の入居負担軽減のための補助を行うことが可能です。

具体的には、住宅確保要配慮者専用の住宅とする場合、共同居住用住宅への用途変更や耐震対応、バリアフリー対応などの改修工事が補助の対象となります。
また、住宅金融支援機構による改修費の融資(融資額上限:改修工事費用の8割)を受けられます。

低額所得者の入居負担軽減のための支援についてですが、入居者の家賃や入居時の家賃債務保証料の負担を軽くするため、地方公共団体と国から補助を行うことが可能です。

登録住宅・入居者に対する支援措置

登録住宅・入居者に対する支援措置

3.住宅確保要配慮者の入居支援
今までの「居住支援協議会」は法人格を持っていなかったため、入居支援などの活動が行いにくいという課題がありました。

今回の改正法で、居住支援の活動の軸となる「居住支援法人」を都道府県が指定することになり、この課題がクリアになりました。

さらに、入居支援を行っているNPOや社会福祉法人に加え、関連業務を行っている企業も指定法人になることができます。

指定された法人は、登録住宅の情報提供や入居相談、住宅確保要配慮者に対する家賃債務保証などを行っていきます。

また、生活保護を受けている人の民間賃貸住宅への入居を進めるため、家賃支払いを本人に代わり福祉事務所 が賃貸人に直接行う「代理納付」を推進し、賃貸人の情報提供に基づいて福祉事務所が事実確認と代理納付の要否を判断できる手続きが整備されました。

家賃債務保証については、事業者登録制度を創設するとともに、住宅金融支援機構が同保証を保険でバックアップします。

リスクを減らせるようなソフト面を同時に提供

リスクを減らせるようなソフト面を同時に提供

不動産業者の取り組みが不安払拭のカギ

新しい住宅セーフティネット制度の普及には、登録住宅の確保と入居の円滑化がポイントとなりますが、そのためには、不動産業者の取り組みが欠かせません。

すでに地方自治体に設置されている居住支援協議会(平成29年7月末時点で69協議会)には、必ず各地に所在する不動産関連団体が参加し、まめな見守り活動によって高齢者や精神障害を持った入居者をサポートするとともに、家賃滞納も防げるという事例も挙がっています。

今回の法改正の主な目的は、家主や不動産業者が抱える不安を取り除き、空き家・空き室の活用を促進し、住宅セーフティネット機能を強化していくことです。

低額所得者の場合、家賃滞納や高齢者の場合の孤独死などの不安がありますが、リスクが減るようなソフト面の対策を同時に提供する新しい仕組みによって、登録住宅を増やしていこうとしています。

国土交通省住宅局住宅総合整備課の勝又賢人企画専門官は「制度を活用しながら、取り扱っている物件や管理物件を登録住宅として提供してほしい」といいます。
また、「新たな制度ですべてのリスクが回避できるわけではない。例えば家賃回収を含めた契約、不動産会社や管理会社による人的・機器を使った見守り活動など、不動産業者側も運用面で工夫していくことが、貸手の不安を払拭していくと考える。国では、居住支援協議会の優良事例などの情報共有化を図るとともに、シェアハウスなどの『共同居住型住宅の管理運営ガイドブック』や『住宅セーフティネット制度活用ハンドブック』などを作成し、制度周知と運用促進を図っていく方針」(勝又氏)とのことです。